出生前診断(NIPT)

お腹の赤ちゃんの検査について考えましょう。

わたし自身、2023年4月に妊娠し2024年2月に母子ともに健康で出産することができました。

医療技術の進歩により、お腹にいる赤ちゃんと妊婦さんの健康状態だけでなく、お腹の赤ちゃんの治療できない難病も見つけることができるようになってきました。わたしの実体験を含めて、妊婦さんとお腹の赤ちゃんにとって重要な検査とは何なのか、どういった選択肢があるのか、わかりやすくストレートにお伝えしていきます。

それが毎年妊娠届け出を出している約80万人の妊婦さんといっしょにお腹の赤ちゃんの検査についての情報や知識を共有していきたいと思います。厚生労働省、こども家庭庁、各自治体、医師会が複雑に関係しますが、わたしが下記にシンプルにアウトラインとフローチャートを記載します。

❶妊娠確定後、11週までにお住まいの自治体にて母子手帳を発行してもらう。

❷たとえば10週目に母子手帳をいただき、11週目から産婦人科で定期健診を受けるとします。 

※① この時点(11~12週目)でNIPT+胎児ドックを受けるかどうか決める必要があります。ここはとても重要です、自治体、産婦人科医からは、NIPTや胎児ドックについて選択肢としての提案やアドバイス等はありません。こちらから聞けば答えてくれますが、こちらから聞かないと一切話してくれません。

※② NIPTですが、染色体異常のうちの3種染色体(ダウン症候群、エドワーズ症候群、パトウ症候群)のみの検査でOKなら認証医療機関をおすすめします。日本医学会は、非確定的検査(NIPT)で99%以上の高精度判定ができる3種染色体を検査対象として推奨し、賛同する

もしも、非確定的検査(NIPT)で99%以上の高精度判定ができる3種染色体(ダウン症候群、エドワーズ症候群、パトウ症候群)以外、たとえば性別判断、ターナー症候群、クラインフェルター症候群、ヤコブ症候群等)の検査も希望される場合、もしく35才以下の妊婦さんの場合は、非認証医療機関で受ける必要があります。

※③ 胎児ドック(胎児精密超音波)は、高度な技術を持つFMF認定クリニックをおすすめします。

※④ NIPT+胎児ドックを希望される方は、かかりつけの産婦人科の定期健診と平行して

❸❹❺❻をすすめてください。

※①なぜNIPTと胎児ドックをセットとしておすすめするのか説明します。

  • 新生児赤ちゃん100人中3~5人は先天的疾患を持って生まれてきます。
  • このうち染色体が原因の疾患は約25%を占めます。
  • そしてNIPTの検査対象である3つの染色体疾患(21、18、13トリソミー)は、その約70%です。
  • つまりNIPTの検査対象である3つの染色体疾患のある赤ちゃんは100人あたり0.7人程度となり、先天性疾患を持つ赤ちゃん100人あたり17.5人程度となります。
  • 染色体疾患以外の先天性疾患のほうが多く、NIPTだけではカバーできません。
  • 産婦人科で行う超音波検査では見つからない,胎児ドックスペシャリスト(FMF認定)の胎児エコー検査が非常に重要な役割を持ちます。

❸13週目に胎児ドック1回目(初期)の検診し、その場で結果がわかります。

❹-1胎児ドック1回目(初期)で何も問題なければ、同じ13週目にNIPT受ける。

❹-2胎児ドック1回目(初期)で赤ちゃんの形態異常を認めたり、“リスクが高い(陽性)”と判断した場合、NIPTをせずに確定的検査(羊水検査、絨毛検査)を行うことをおすすめします。なぜなら、NIPTを行い陰性と出ても安心が得られないためです。

❺❹-1の場合、1~2週間後にNIPTの検査結果がでる。

❻ー①.陰性の場合⇒20週目に胎児ドック2回目(中期)の検診となります。

❻-②.陽性の場合⇒羊水検査を受ける⇒陽性の場合、家族で話し合い継続して産むか中絶にするか決断します。

※人工妊娠中絶は21週6日までが期限です。

❼胎児ドック2回目(中期)で問題がなければ、かかりつけの産婦人科で出産するかを決定します。

❽出産予定の病院の費用、立ち合い出産が可能かどうか、無痛分娩に365日24時間対応しているか、など要チェック。

こういった流れになります。各項目の詳細は各記事に記載いたします。

 

日本、アメリカ、中国で妊娠してから出産まで

わたしは自分自身の出地や育った環境で、日本、中国、アメリカにおける妊婦のとりまく医療事情に多少なりとも精通しております。妊娠と出産に関して、日本、中国、アメリカ、それぞれの国の良い点と悪い点、メリットとデメリットや矛盾点がございます。結論から言いますと、日本は保険加入者には高品質のサービスをほぼ平等に受けることができますが、中国とアメリカはとても似ていて、保険の種類や忖度・縁故関係によってサービスの内容、質、価格はピンキリとなります。

ただし、日本の場合、出生前スクリーニング検査(NIPT+胎児ドック)の約25万円前後と無痛分娩費用の約15万円は含んでいません。そして中国は、出産後1カ月間、母親と新生児の世話をするために「月嫂」と呼ばれる専門のベビーシッターを雇ったり分娩後サービス施設に宿泊する風習があり、所得水準にもよりますが、1ヶ月で約30万円~300万円ほどかかります。アメリカは出産は病気ではないという観点から母子ともに健康な状態ですと平均して産後2日以内に退院いたします。

わたしはもともと性別判断とXYY症候群の検査も希望していたので、非認証機関でNIPTと胎児ドックを受ける予定でしたが、わたしが通院した2つの大手総合病院(NIPT認証医療機関)の担当医から、NIPT、出産前検査、胎児ドック、出生前スクリーニング、といった言葉は一言もありませんでした。自費診療とは言え、染色体異常を見つけるスクリーニング+胎児ドックは妊婦さんとお腹の赤ちゃんにとってとても大切な事案です。

 

妊娠が確定したらすぐNIPTと胎児ドックをチェック!

すべての妊婦さんが出生全検査を受けるべきと言っているのではありません。NIPTと胎児ドックは自費検査なので25万円前後かかりますが、日本の場合、妊婦検診と出産費用のほとんどが保険と自治体の助成金でカバーできるので、実質25万円で①NIPT検査②胎児ドック③妊婦検診④出産費用をカバーできます。

すべての妊婦さんが妊娠確定した時点(同時)で、自治体や産婦人科医院+担当医から、出生前スクリーニング検査(NIPT+胎児ドック)のメリット・デメリットをわかりやすく告知することで、お腹の赤ちゃんの健康状態を知ることができます。

その上で最終的に出生前スクリーニング検査を受けるべきかどうか、妊婦さんとご家族の判断におまかせするべき、だと思っています。NIPTの検査率は、アメリカ60%、中国25~49%、日本約5%。海外並みに自治体や医療機関でNIPTと胎児ドックの重要性を認識できるシステムが構築できれば検査率は50%くらいまで上がると思っています。